困難を越えて行った東京2020大会と、今後のレガシー



コロナ禍によってオリンピック史上初の一年延期となった東京2020大会ですが、2021年に入ってもコロナの状況が良くならないまま、3月25日の聖火リレーを迎えました。


聖火リレーはオリンピックのシンボルであり、平和・団結・友愛といったオリンピックの理想を表していて、オリンピックへの関心と期待を起こさせるものなので、聖火リレーの流れに乗って日本でのオリンピックの関心度が高まればと思っていました。


しかし、著名人の聖火リレー辞退が続出したり、公道での聖火ランナーの走行が各地で禁止になったりして、聖火リレー本来の目的である「オリンピックに向けての関心や期待を高める」ことができない中で進んで行きました。


更に世論調査では「70%以上が東京オリンピックの中止や延期を要求している」との記事が連日記事を賑わしていました…


そして7月に入ってから東京都のコロナ感染者が900名を超え、7月8日に東京都で4回目の緊急事態宣言と同時に、東京オリンピックの無観客が決定しました。


「スポーツ大会よりも命のほうが大事ではないか?」と「政府は人命を軽視している」というよく目にするフレーズも、東京2020大会の推進にブレーキを掛けさせる言葉になり、大会会場周辺での反対デモは大会開催中も行われていました。


しかし、このような困難な中でも、東京オリンピックには世界 206ヶ国から11092人の選手団が集まりました。バラリンピックに至っては、史上最多の163ヵ国、4400人の選手が参加したそうです。


東京オリンピックに対して、北朝鮮が早々と不参加を公表していたため、それに呼応して他国も不参加する可能性がありましたし、多くのオリンピック・パラリンピック選手が参加を辞退してもおかしくなかったのに、これだけ多くの国から来日して下さったのは「奇跡」だと思います。


選手村でのクラスターや変異ウイルスの感染拡大等、様々な可能性が叫ばれていましたが、大会関係者のコロナ感染者は 436名 (選手29名) , 陽性率 0.02%で、大きく大会に影響を与えることはありませんでした。


また、無観客によって大会が盛り上がらずに終わったり、応援が無いことで日本の選手が活躍できないことも十分有り得たと思いますが、東京オリンピックが始まってから、急激にテレビの視聴率が伸び、日本選手たちの感動的な試合とそれに伴う成績への関心度が国民全体に広がっていきました。


特に新種目のスケートボードで、日本最年少で金メダリストに輝いた13歳の西矢椛さん、日本最年少メダリストに輝いた12歳の開心那さんを始めとする10代の活躍は、将来の日本に希望を与えてくれました!


今回のオリンピックを通して、今まで続いてきたオリンピックの問題点に関して、改めて見直す機会となりました。


特に商業主義、権威主義に偏ってしまっていた部分が、本来の目的を見失わせていたことを気付くようになりました。それらは今回の大会を通じて変えるチャンスにもなったと思います。


そもそも世界的なイベントをすると、それに伴う責任や経済問題、様々な問題が起こるしかありません。特に全世界的なコロナ禍にあって、今回の東京2020大会は尚更、そうだったでしょう。


しかし、東京2020大会を通じて受けた感動や経験は、その時だけのもので終わらない、深いメッセージを含んでいるように思います。


それは、ほとんど不可能に見える時期に曲がりなりにも、様々な障害を超えて行えたことや、スポーツの力が純粋に私達に伝わったことにも、理由が見い出せることでしょう!


今回の大会の広報メッセージは「みんなの輝き つなげていこう Unity of Diversity」でしたが、これからは、未来にどう繋げていくかが問題になります。


政府やオリンピック委員会に、東京2020大会以降の未来を委ねるのでなく、私達市民が自ら東京2020大会以降の未来を考え、イノベーションを起こしていく姿。それこそが「ヒューマン レガシー」として残っていくものだと信じています!