真のボランティア精神からオリンピックレガシーは始まる!



本来は観客の道案内などをすることになっていた「都市ボランティア」ですが、コロナ対策のため無観客になったことで、3万人から8000人に縮小されました。


私はその時点で「この環境の中で8000人が実際に集まるのだろうか?」と気になっていました。緊急事態宣言のため県を跨ぐことが出来なかったり、何と言っても、コロナ感染のリスクも背負いつつ、観客がいない中での募集だったからです。


しかしいざ応募してみると、何度も落選する経験をし、「こんな困難な中、ボランティアに対する熱は冷めていないんだな」と気が引き締まる思いでした。


参加した会場によっては、有償のボランティアの方と無償のボランティアの方が混ざっていることがあリました。


有償のボランティアの方のほうが、当然、仕事に熟達しているのですが、無償のボランティアの方は「何かできないかという思い」が全身に現れていて、楽しそうに見えたのです。


このことって大事だなと思いました。


「仕事として行っていること」と、「自分の成長や、新しい挑戦、出会いを考えて、自ら飛び込んで行うこと」の違いを通してボランティアの価値を考えるようになりました。


2013年から準備をしてきた東京2020大会の存在は、確かに大きかったです。東京マラソンや2019年のラグビーワールドカップ等の東京で開催された世界的な大会は、東京2020大会に標準を合わせて進めて来た面がありましたし、ボランティアでも、その時の経験者が多く活躍していました。


そして、長い間目標にしてきた東京2020大会は、様々な困難を乗り越えながらも、予想を超えた感動を残して閉会しました。


大会中のボランティアの活動に関しても、世界のメディアから称賛の声が寄せられました!


「この素晴らしいボランティアたちを見てください。雨の中、楽しい時間を過ごし、とても親切で優しい。ありがとう、東京2020」


「東京五輪のボランティアはどの五輪よりも優しいことを証明した。」


私は4回、シティーキャストの活動に参加しましたが、海外の方を空港で直接見送ることもあれば、パラリンピック選手への応援グッズをひたすら作って、写真撮影して終わることもありました。


もちろん、多くの観客と自由に会えたら、もっと楽しかったかもしれません。


しかし、一生に一度しかないかもしれない東京オリンピック・パラリンピックに関われたことに感謝する心がいつも湧き上がっていましたし、こんな時だから、行なうことができた経験は、忘れることが出来ない貴重な宝物だと確信しています。


そして、これらのかけがえのない経験を活かして、東京2020大会後の次のステージに繋げていくならば、花のような華やかさで終わらず、実を実らせ、東京2020大会の評価もよく変わっていくでしょう。


東京オリンピック・パラリンピックのあらゆる組織は解散し、東京2020大会が決まった当初から、オリンピックレガシーが大事だとはと叫ばれていましたが、政府や公共機関が積極的に関わってはくれないと思います。


そこで大事なのが、困難な中でも自発的に応募して活動してきたボランティアの存在だと思うのです。


ボランティアのボラは、ラテン語の「volo」(ウォロ、と読む)が語源だそうです。これは「自分から進んで〜する」「喜んで〜する」という意味があります。「volo」だからこそ、たとえ自分が費用を負担して(無償)でも取り組む、という「無償性」の性格があるというのです。


このボランティア本来の精神を土台に、オリンピックボランティアの関係者が中心となって、オリンピックレガシーについて、自ら提案し、公共機関に働きかけていく、そんなボトムアップ的なレガシーが一つずつ実現していくなら、東京2020大会の成功を証明するものになるのではないでしょうか?


今回、小池東京都知事からシティボランティアに、以下のような文章でメッセージを頂きました。




「シティキャストの皆さまへ 


日頃よりシティキャストへのご協力を賜り、ありがとうございます。

本日(9月6日)の羽田空港における選手等のお見送りをもちまして、シティキャストの活動は全て終了いたしました。

大会延期により活動が1年後倒しとなり、また、無観客開催に伴い活動内容や日程を大幅に変更せざるを得なかった際には、皆さまにご心配とご迷惑をおかけしました。深くお詫び申し上げます。

こうした状況下においても、多くの皆さまに活動へ積極的に参加いただき、様々な場面で大会を支え、盛り上げていただきました。東京2020大会が円滑に開催され、アスリートが持てる力を存分に発揮して心に残る多くの場面が生まれたのも、ひとえに皆さまのご協力のおかげと考えております。心より感謝申し上げます。

活動終了にあたり、開催都市・東京を代表して小池東京都知事からシティキャストの皆さまへ感謝のビデオメッセージと感謝状をお送りさせていただきます。ぜひご覧いただければ幸いです。

近いうちに、大会における皆さまの活躍を振り返り、ご協力に改めて感謝する機会を用意させていただくことを検討しております。詳細が決まりましたら改めてご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。」