
福岡のアンちゃん、日本文化と日本の世界観を語る!
1月27日「やさしい日本語認定講師養成講座]の第二回目では、日本を、こよなく愛する言語学者、アンちゃん(アン・クレシーニさん)が基調講演をして下さいました!
アメリカ人のアンちゃんは、福岡県を中心に、スピーカー・ライター・教師・テレビコメンテーター・ブロガー等、多岐にわたって活躍されています。
アンちゃんは、アメリカ、バージニア州の田舎で生まれ育ち、結婚した旦那さんの仕事の関係で、全く関心の無かった日本の関西に引っ越しするようになりました。
全く日本語ができないし、食生活や気候も合わず、最初の4ヶ月間は、日本での生活が、嫌で嫌で、アメリカに帰国したくて仕方なかったそうです!
来日して4ヶ月後、ホストファミリーのもとを離れ、引っ越しした後、近所の挨拶回りをした時に、自分のことを「隣のものです」と言えず、「外人です」と答えてしまい、あまりにも、恥ずかしくて、その時から、決心して日本語を、勉強するようになったことで転機を迎えたそうです。
そして、日本と日本文化が徐々に好きになっていき、今では日本語の言語学者になって、「日本が、私の人生を変えてくれた」と、憚ることなく話している姿に、とても感動しました。
アンちゃんが、大事にしているキーワードは「理解」。
それも、言葉や、文化を越えた「深い理解」です。
そのきっかけとなった事件がありました。
アンちゃんには、まきこさんという、性格も、国籍も、価値観も、宗教も違う、京都生まれ京都育ちの、純日本人の大親友がいます。
いつも仲良くしていた彼女が、運動会のために、たくさん、おにぎりを作ってきました。そのおにぎりを、アンちゃんが少しだけ、残したのですが、そのことに、まきこさんは、とても腹を立てたそうです。
「食べ物を大事にしないんですか?」「罪悪感が無いのですか?」とおにぎり一つについて、一時間も、フェースブックで、やり取りしたというのです。
そして最後に、アンちゃんは、まきこさんから「アンちゃんは、いただきますの意味をわかっていますか?」と言われたそうです。
「いただきます」は、外国人が、日本語の初歩で学ぶ言葉ですが、アンちゃんは「Let’s eat 」と、毎回、訳していました。
しかし、実は、「いただきます」は、日本の神道の思想から来ていて、「命を頂きます」、という意味で、命を捧げてくれた動物に、植物に、また、調理してくれた人に感謝することだと、その時に、初めて知るようになりました。
そう書いている私も、純日本人ですが、「いただきます」は、「Let’s eat」でした(^_^;)
アンちゃんの凄いのは、そこから、世界観の理解の大事さに気づいたことです。
それまで、アンちゃんは、日本語や日本文化について、理解していると思っていたけれども、何か、スッキリしない思いを持っていたのですが、日本の世界観を理解していなかったからだと、気づいたのです。
「世界観」とは、世界とはこういったものである、人間はその中でこう生きていくものである、という考え方のことをいいますが、アンちゃんが、文化と世界観の違いを、このように喩えで表してくれました。
文化=何?
世界観=何故?
理解ができない時、何で?で終わらないで、何故?という、その人の世界観まで考えることが大事なんだと。
また、文化は、家の屋根や柱など、見える部分で、世界観は見えない土台の部分。その土台が無ければ、家が建たないと、分かりやすく喩えてくれました。
それまでは、理解ができない日本の文化に対しては、上から目線で、それは、アメリカの文化の方がいいから、日本人は取り入れた方がいいと思っていたのですが、実は、その奥にある世界観について、自分が理解できていなかっただけではないか?と、考えるようになり、同じ目線で、理解しようという考えに変わったと、幸せに満ちた顔で話していました。
もう一つ、大事なこととして、ただ、文化や世界観を理解するというよりは、自分のアイデンティティーを、しっかり持った状態で、理解すべきだと。
例えば、「いただきます」は、日本の神道的な考えから来ていますが、クリスチャンであるアンちゃんが、キリスト教のアイデンティティーを捨てて、神道の考え方を受け入れるのではなく、キリスト教のアイデンティティーを持ちつつ、神道の考え方を受け入れることが、とても大事だと結んでくださいました。
やさしい日本語に言い換えるとしても、正しい答えがあるわけではありません。日本で、外国人が安心して暮らせるツールとして、重要なのです。
アンちゃんの伝えたかった、「理解」は、英語でundrtstandと書き、下に立つという語源から来ています。
アンちゃんが、日本を大事に思い、常に謙虚に理解しようと、努力する姿勢を通して、やさしい日本語認定講師としての、あるべき姿を学ぶことができました!
本当に、ありがとうございます!