八王子城跡御主殿へのロマンは広がる!(2021年12月4日の発掘調査見学会にて)



八王子城跡の御主殿入口から見て左奥(御主殿の西側)にあたる場所で、2021年11月15日から12月3日まで発掘調査が行われ、1992年に確認された道路状遺構の続きを発掘しています。

御主殿の周辺には、発掘作業さえすれば、たくさんの遺構や出土物が出てくるはずなのですが、許可を得るために時間がかかり、今回も12月6日になると、保存のための埋め戻しをするため、それ以降になると見ることはできなくなります。今回の発掘作業に合わせて、12月4日午前10時〜12時の発掘調査見学会があるという情報を知って、当日、現地に行ってきました!

今回はそれほど広くない、約50平方メートルくらいの発掘場所だったのですが、200点ほどの出土品が出てきました。

出土品は、明(中国)から輸入された磁器の皿や瀬戸・美濃産の皿、また、常滑焼の瓶などの割れ物で、御主殿跡の他の場所にも出てはいたのですが、発掘場所が狭い場所だったため、割合的に多く出土されたそうです。

また、とても興味深かったのが、今回新たに発掘された敷石水路跡に赤土が出てきて、その赤土は南から北に向けて水路に投げ込まれた、焼けた土だと推定できることや、以前の調査で、すぐ隣の場所に、鉄を溶かしたと見られる遺構や、羽口(鉄等を作る道具)が見つかっていることから、この辺りで鉄を溶かして加工していたことが分かるそうです。

実際、御主殿跡にたくさんの銃弾が発見されていたので、先程の鉄は、おそらく銃弾などの武器に使用されていたと考えられるため、御主殿という政治をしていた場所にも関わらず、武器も同時に作っていて、武器を作る職人もいたであろうということまで明らかになってきたのです。

今まで考えられていた優雅な八王子城跡の御主殿とは、別の側面もあったと市の専門家から聞き、ワクワクする気持ちが止まりませんでした。

今後も御主殿跡の発掘は続いていきますが、八王子の歴史の始まりとも言える八王子城跡の発掘によって、新たな八王子のストーリーが書き加えられることを、八王子市民として期待しています。