ブラインドサッカー日本代表コーチ、パラリンピックを振り返る!

2013年9月7日、2020年夏季オリンピック・パラリンピック開催国が「TOKYO」に、決まってから始まった壮大な旅路は、コロナ禍による1年の延期もありつつ、21年9月5日に幕を閉じました。

これまでの期間について、研究会をし、早く次の目標を立てて、動き出すことが、レガシーを残していく上で、とても大事だと思います。

今回の大会は、前代未聞の、あらゆる困難に見舞われた分、未来への鏡となる大会になるでしょう。
そこから、学ぶためには、大会に関わった人たちからの生の声を聞いてみたいと思い、今回のオンライン講演会に参加しました。

ブラインドサッカー日本代表のテクニカルコーチでいらっしゃる、上林知民氏の講演会に参加しました。
ブラインドサッカーは、視覚障害者(全盲)の5人制サッカーで、講演の最初に、東京パラリンピック大会の試合の映像を見せてもらいましたが、思い切りぶつかり合うこともある、激しいスポーツです。


今回の大会で、ブラインドサッカー日本代表選手は、予選リーグでフランスに4−0で勝利した後、ブラジルに0−4、アジアチャンピオンの中国に0−2で敗れてリーグ3位になり、メダル獲得の夢は消えましたが、5、6位決定戦で、世界ランキング3位の強豪、スペインに1−0で勝利し、パラリンピック初出場で、5位の成績を収めました。

最終戦のスペイン戦での1点は、何度も練習してきた攻撃パターン通りの、得点だったため、喜びもひとしおだったようでした。
 
中国がブラインドサッカーでアジアチャンピオンだと聞いて、ピンと来なかったのですが、東京パラリンピック大会の金メダル数で、なんと中国は金メダル96個のダントツ1位、2位の英国が41個なので、パラリンピックスポーツが全体的に世界トップクラスなんですね!

これは2008年北京オリンピック・パラリンピック以降、国策として、パラリンピック競技を強化したところから、現在の世界トップレベルになっていったようで、このような形で北京パラリンピックのレガシーを残していることが、分かりました!

今回の東京パラリンピック大会と、過去のブラインドサッカー国際大会との違いについて、上林さんは、「ディズニーランドに行くのか、フットサル大会に行くのかくらい違った。規模感が違う」と話されていました。

パラリンピックにおいては、スポンサーや、メディアの数が圧倒的に違い、様々な人種と様々な障害の人たちがいること。また、今回の大会で、サッカー男子日本代表、なでしこジャパン、日本ブラインドサッカー日本代表が、同じユニフォームを着用し、カテゴリーを超えたサッカーの各代表選手の交流が盛んに行われたことで、憧れの日本サッカー代表選手たちとも交流できたこと等、モチベーションの上がることが多かったことを聞き、ブラインドサッカーの選手たちや、関係者にとって、忘れられないパラリンピックの記憶になったのだろうなと、心が熱くなりました。

障害者スポーツというと、障害者として、一括りに考えてしまうかもしれませんが、例えば、全盲といっても、生まれつきの方と、成長してから全盲になったのでは、感じ方、考え方が違います。

それによって伝え方を工夫したり、言語化をうまくしないといけないのですが、一緒に活動することが、健常者より求められるため、お互いの信頼性が深いと聞き、オリンピックより、さらに言語や心の壁を越えることができる魅力を発見しました!

「大切なものは、結局、共通しているんだ」とも。

上林さんが、ブラインドサッカーの指導する上で大事にしていることは、「見えないところを観る。」と話されていて、それは、見えないところでの努力や、目立たないところでの、隠れたファインプレー等の部分を評価してあげようと心がけることだそうです。体験の上で話された一言に、とても重みを感じました。

オリンピック・パラリンピックレガシーというと、大きな社会改革が思い浮かぶのですが、2013年から2021年の大会に至るまでの様々な知恵や、経験の中に、すでに本質的な答えがあるのではないでしょうか?

「問題の中に答えがある。」ですね!

オリンピックがあるために、パラリンピックの存在がクローズアップされるので、この二つは切り離せませんが、特にパラリンピックスポーツの視点から見たときに、未来に残すべきレガシーの答えが、より具体的に見えてくるように思いました。

上林さん、素敵な講演、ありがとうございました!