世界の現状を知り、日本を見つめ直す、
SDG4教育キャンペーン2020

毎年4月5月に、世界の教育の現状を、多くの市民に知ってもらい、途上国の識字率向上の為に、日本政府に働きかける「世界で一番大きな授業」という教育キャンペーンがNPO法人 開発教育協会主催で、毎年行われていて、去年の4月に、学生団体ツナグ~across 2020 ~でも、試験的に一度実施していました。

 今年は、コロナ期間で、オンラインにはなるけれども、自分たちだけでなく、より多くの学生、市民に呼びかけて行ってみようと2020年5月30日に開催したのが、今年、「世界で一番大きな授業」から、新しい名称になった「SDG4教育キャンペーン2020」です。

「SDG4教育キャンペーン」は「世界で一番大きな授業」で扱われていた内容より、さらに広範囲なSDG4(教育目標)において、市民の声を政府へ届け、政策に反映することを目的とした世界100カ国以上で行われるグローバルキャンペーンです。

自分たちの団体の中でも開催出来る、ワークシートが、NPO法人 開発教育協会にインターネットで応募すれば、メールで送られて来るのですが、やっぱり実際に、途上国で活動した方から聞く機会を持ちつつ、教育キャンペーンに参加したいということで、ゲストを探すことになりました。

ゲストは、JICA青年海外協力隊、環境教育職として2018年1月から2年間、ドミニカ共和国で活動されてきた、浅井 梢さんで、以前から、私と交流のある方になりました。

一部では「世界の教育課題と日本のODA(政府開発援助)について考える」という主題で、浅井さんに講演をしてもらい、

二部では、グループワークをしながら、参加者と共に、日本のODAの増額について、また、途上国の基礎教育、中等教育への投資について考えるプログラムを行いました。

一つ心配していたことですが、参加者の中で、ODAについて、今まで、深く考えて来なかった人たちが多そうだったので、ワークショップのタイトル「ODAについて考えよう」で、どれだけ活発に意見の交換ができるのかということでした。

自分も、ODAとJICAとの区別がついていませんでしたが、日本が支援する国際機関(ユニセフや、世界銀行等)を援助する多国間援助以外の、二国間援助は、ほとんどJICAが担当していると、今回、分かりました(^^;;

浅井さんが青年海外協力隊として、ドミニカ共和国に派遣されている2年間で、途上国の問題の鍵は、「教育」だと改めて実感したそうです。

途上国の政府の政策は、日本よりも、国民に大きな影響があり、教育を受けられず、政府に意見する人がいないと、主権者の考えに流されていくことも考えられるし、衛生観念がない、計画性が無い、良い生活習慣が作れない等、あらゆる途上国の問題が、基礎教育、中等教育に関係しているのが分かりました。

講演の最初に、日本も戦後や、東日本大震災の際に、世界から援助を受けてきた国だったと、クイズ形式で、浅井さんが話してくださいました。2011年3月11日に起きた東日本大震災では、なんと世界163カ国から支援されていたのです。(そのことは、あまり報道されなかった気がします。)

私たちも世界各国のODAの援助を受けて、今の日本になったことを、クイズを通して、楽しく知るようになりました。

浅井さんの活動されてきたドミニカ共和国は、野球や観光地で有名な国ですが、一方、深刻な海洋汚染や、河川汚染等についても、写真や、映像で見せて下さいました。

日本のような先進国だと、環境に対する常識が、幼い時から養われますが、ドミニカ共和国のような途上国では、食べるものがない、薬がない、働き場がない、市役所にお金がない等、国民が環境にまで関心を持ちにくいのです。

そういう中で、浅井さんが友人と立ち上げたのが、「持続可能な開発のための教育と衛生化プロジェクト」というもので、河川の衛生改善を行うことを目的として、それに、住民たちも参加したくなる仕組みを作り、共に実践するプロジェクトでした。

草の根技術協力事業と言って、ODAが1000万円まで、お金を出してくれる事業形態があります。

それを使って河川の衛生改善が成されると、市長にも実績となり、日本とのつながりもでき、メディアにも取り上げられるということを、浅井さんは、市内のあちらこちらに出かけて、アピールし、行政や、目立ちたがり屋のドミニカ人たちの心にも訴えつつ、環境教育をしながら、仲間を増やして、ついに事業が成功した話をして下さいました。

講演が始まる前は、SDG4と、ODA(政府開発援助)の繋がりが、見えにくいため、ODAの増額や、途上国の基礎教育、中等教育の援助増額の是非を話し合うワークショップをすると、現在、コロナ期間中なのに、途上国支援に目を向けるより、まず国内に目を向けるべきだとか、ODAの使い方自体に問題があるのではないかという話に偏るか、心配になりましたが、世界の中の日本の役割だったり、教育の意味や、価値について、あちこちのグループで活発に話し合われていて、とてもやりがいを感じました。

最後、浅井さんが、「ODAは、数値化しやすいところに、投資されやすいが、教育は、数値化しにくいため、援助金が下りにくい。そういう意味でも、SDG4教育キャンペーン等を通して、教育の価値を訴える必要がある。」と話されていたのは、印象的でした。

今回のイベントは学生団体「ツナグ~across 2020 ~」とNPO法人おもてなし国際協議会の共催で開催しましたが、今までの傾向として、八王子市や、多摩地域に関わる地域活性のイベントが大部分でした。

しかし、SDGに関わるグローバルイベントを実施することを通して、政治について、または、将来の世界について、考える機会を持つことは、普段の生活で忘れやすいけれども、本当に大事なことを考える上で、必要な活動だと感じるようになりました。