多文化共生フィールドーワーク 品川の入国管理局へ!

7月11日の午後は、4日間の中で唯一のフィールドワークでした。
フィールドワークの候補地が3箇所あり、事前にチーム分けをするために、メールが来ていたのですが、
以前から気になっていた、入国管理局が目に入ってきました。人数調整のため、担当者の方が他の候補地を紹介されましたが、眼中になく、何としても行きたい思いで、入国管理局を選びました。
なぜ、関心があったかというと、10年前、大阪で国際協力団体Peace Village の代表をしていた時、アフリカのコンゴの紛争について知ってもらう、コンゴウィークという期間があり、世界擬似体験演劇「コンゴ?君に届け?」を上演させてもらうことで関わらせてもらったのですが、そこから、世界の難民問題を知り、大阪の難民支援団体に、しばらく関わらせてもらっていました。
その時に、入管や収容施設がいかに、非人道的で、世界では難民鎖国と嘲笑されているかを、難民支援関係者や、仮放免の難民の方から直接、聞いていたからです。
大阪茨木市にある収容所には、行ったことがありますが、東京に来てからは、関わることが全くありませんでした。今回は逆の立場である入国管理局に行って、話が聞けると聞いて、貴重な体験になると思いました。
入国管理局が、品川にあるというのも、初めて知りました。入り口で、係の方が、フィールドワークに来たメンバーたちを迎えて来てくださり、丁寧に紹介してくれました。この建物の中は、撮影禁止なので、目に焼き付けておこうと、詳しく見るようにしました。
その日は木曜でしたが、雨も降っているせいか、外国人の来館者は、少ないと話していました。それでも、2階に上ると、全ての椅子は外国人関係者で埋め尽くされていました。普段であれば、どれほどの長蛇の列になるのか、想像できます。
ある留学生の方は、何時間も待たされるので、入国管理局には行きたくないと話していたのですが、この状況が、もっと酷くなるのを、責任者側では、解決しようとしているのか?気になりました。
建物の7階までは、エレベーターがあるのですが、8階?11階には無く、すべて収容所になっていて、日本最大規模の800人を収容しているそうです。
2階の紹介が終わって、さらに上の階の大きめの会議室に案内してもらい、民放で放映された、偽装難民の急激な増加に関する映像を見せてもらいました。難民申請をすれば、もらえる在留カードで日本での滞在は保証されるのですが、それを利用して、日本での滞在期間を延ばしている外国人労働者を追跡する追跡班のルポで、フィリピンパプで働いているのを検挙されるまでの様子が詳しく紹介されていました。このビデオを、みんなで見た後に、「本来、保護を受けないといけない、難民の方にも、支障が起こっている」と係の方が話されていました。
また、「世界の難民の出身国上位の国と、日本の難民の出身国上位の国が、明らかに違うため、本当の難民として日本に来ている方は、少数だ。」と統計数字を見せてくれました。
7階の管理室で、収容されている方の様子を8台のテレビカメラで拝見させてもらったのですが、洗濯機のある場所に選択に来ている人、小さなリビングで話している人、公衆電話で電話をしている人、壁に囲まれた、30畳くらい?のスペースで鉄アレーで筋トレをしている男性などの姿を見ることができました。
10年前は、たしかに、もっと酷かったと思います。土日はシャワーができないとか、医療の対応が悪いとか。また、このような形で、見学とかは考えられなかったと思います。
最後に、もう一度、会議室に戻った後、入国管理局の担当局長の方が10人ほど、横並びで座られていて、フィールドワークのメンバーとの質疑応答の時間を持ちました。
僕から、「偽装難民が多いことにより、取り締まりが厳しくなったり、世界の難民上位の国と、日本の難民出身国上位の国が違うのもわかるが、それでも、昔から、今に至るまで、ずっと難民鎖国をしていると、指摘されるほど難民認定者数の人数が少ないのは、明らかに問題があるのではないか?」と質問をしてみました。「世界難民条約に基づいて、保護を受けるべき難民が、どれだけいるのかということと、多くの偽装難民によって、審査期間が延びてしまっている現実がある。」と強調されていました。しかし、後で調べてみると、世界の難民出身上位国から日本に来た難民申請者も、難民認定される割合が1割?2割でした。
世界は、難民問題、環境問題などで、グローバル化が加速し、日本における外国人人口も、急激に増え、2020年 東京オリンピック パラリンピックに向けて、外国人観光客、留学生の増加が著しい時代、さらに多文化共生の時代に進んでいます。
いつまでも先進国の中で日本が「難民鎖国」と呼ばれる時代からは出てこないといけないと思いますし、世界的な基準に合わせようとする努力は必要だと思います。
入管管理局は、やはり、管理の視点、日本側の視点で考えるため、話していることは合っていることも多いですが、それが、難民の保護や外国人の人権の視点に立ってみると、問題が多いように思います。
それだから、私たち、多文化共生に関わる民間団体は、より外国人の立場に立って、彼らの声にならない声に耳を傾けながら、日本社会の中で、伝え続けなければならないと責任を感じる時間でした。