ボランティアとリーダーシップを考える(ラグビー編)

5月9日に首都大学東京大学で、「ラグビーとボランティアとリーダーシップ」というタイトルで、トークライブが行われました。

2019年にラグビーワールドカップが、調布で開幕試合をすることや、この大会が、オリンピック、サッカーのワールドカップに続く世界3大スポーツ大会と称されるため、関心はあったのですが、ラグビーについて、あまりにも、知らずにここまできてしまったため、どう関わっていいか、機会を掴めずにいました。

また、その時期に世界から多くの観光客が訪れ、2020東京大会の擬似体験にもなる期待もあって、このイベントに、参加することになりました。

ゲストはファシリテーターが、ラグビージャーナリストで、日本で最も有名な、村上 晃一氏、元ラグビー日本代表、東芝ブレイブルーパス前監督、冨岡 鉄平氏という、ラグビー界のレジェンドが来られていましたが、私は、全く知りませんでした。

また、今回のイベントのタイトルにもなっている、ボランティアとリーダーシップの関係を研究されている室田 信一 准教授、それに、釜石ラグビーの応援ボランティアに参加している、首都大学東京のラグビー部主将という錚々たるゲスト達のトークライブになりました。

最初に、なぜボランティアとリーダーシップの関係について、室田准教授が、取り上げたかについてですが、「ボランティアは、それだけで終わるのでなく、リーダーシップを育むものになり得る。以前は、ついてこいと1人を中心に進めるドットリーダーシップが、分かりやすく、よく機能していたが、経済の右肩上がりの時代は終わり、先の見えない時代であるため、受け身でやらされて、リーダーが抜けると、終わってしまうリーダーシップは、通用しなかくなった。

そのような時代に必要なリーダーシップは、しんがり型のリーダーシップだ。安心して後退でき、自ら気づきを与えたり、見えない頑張りをフォローしてあげる、ちょうどラグビーで言う、フルバックの役割だ。

また、スノーフレークリーダーシップ型にならないといけない。スノーフレークは、雪の結晶で、リーダーが他のリーダーを育て、今度は、その人が他のリーダーを成長させること。これが今後のボランティアで求められる。」と話されていましたが、おもてなし国際協議会で、最も手をつけないといけない課題が組織強化だということにきづかされました。

冨岡さんは、過去の東芝のチームが常勝軍団であった時のキャプテンの時、典型的なドットリーダーとして、最初の3年は導いたが、「刺激剤として、そのような指導者も必要だと思う。」とも仰っていて、実際に優勝をし続けましたが、選手としての最後の2年間になって、周りに火をつけていく点火役となるよう心掛けて、リーダーシップの考え方を変えたと仰っていました。

また、監督時代に、最後の一点が取れずに決勝で負けた悔しさから、圧倒的に強いチームを作ろうとして、ありとあらゆる基準を上げて、次のシーズンに臨んだところ、チームの選手達の心がついて来なくて、成績を残せず、監督を辞めた失敗談を話されました。

「腹落ち度が、しっかりしなくてはいけない。全員の腹落ち度の高い目標にすることが大事だ。」と話されていました。

また、「ボランティアのリーダーシップは、利他的な面が強く思われがちだが、まずは、利己的でないといけない。自分に向かいあって、自己満足(自分さえ良ければいい)でなく、自己実現を成した上での他者貢献だ。」とも。

最後に、質問を首都大学東京のラグビー部に投げかけた時、「現在、正式な監督がいないのですが、監督の立場として学生のリーダーにどんなこと求めますか?」という質問が出ると、冨岡さんが「監督がいないこ

とも、有利だと思った方がいい。監督のいいなりに、考えるようになってしまう。君はどうしたいか?なんのために練習しているのか?」と、むしろ、質問をして、自分で答えをたどり着くように導いていました。

実体的に、リーダーシップ教育をしている姿が感動的でした。

ラグビーワールドカップも、東京オリンピック パラリンピックも、日本にボランティア文化を根付かせる絶好の機会ですが、その中でも、リーダーシップのあるボランティアをどう養成していくかの重要性に気づかされる、意味ある時間になりました。

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