2021年のオリンピック・パラリンピックは 私達に何を残すのか?

第一回世界架け橋ユースフォーラム「オリンピック・パラリンピックについて語ろう」が世界架け橋ユース🔖🔖・ジャパン主催で開催されました。

世界架け橋ユース・ジャパンは、日本各地の学生団体や、市民団体が、オリンピズム(オリンピックの精神)を軸にして、東京2020に主体的に関わり合い、共生社会の実現をレガシーとしていくことを目的として、2021年2月に始まったのですが、その最初のイベントとして、世界架け橋ユースフォーラムを開催しました。(NPO法人おもてなし国際協議会も参加しています。)

世界架け橋ユース・ジャパンでの話し合いで、「聖火リレーの始まる大事な時期、東京2020大会に対して、世論調査では、反対が70パーセントにもなり、しかし、開催はほぼ確定しているという、日本中が、もやもやしている中にあって、オリンピックの価値や精神の視点から、オリンピック・パラリンピックについて話し合う場が少なすぎるのではないか」という意見が挙がり、そのことが、このフォーラム開催のきっかけとなりました。


今回のゲストは、オリンピズムの伝道師(自称)として長年、活躍されている舛本 直文教授。

北京パラリンピックゴールボール日本代表となられ、最近は、障害者の社会参加や共生社会を創ることを目的として障害者平等研修の講師もされている高田 朋枝選手。

上智大学Go Beyond 共同代表の青木 明衣さんが登壇されました。

1番目のプログラムは舛本教授による「ポストコロナ時代の新しいオリンピックのかたち」というテーマの基調講演でしたが、その冒頭で、「みんなで考える時間にしましょう」と仰ってくださいました。

答えを出す時間ではなく、オリンピックについての根本的なあり方について学び、自分の立場でできることを自ら考えてみようことです。

そして、その後、競泳選手 池江璃花子さんのメッセージ映像を見せていただきました。本人が闘病生活をしながら、身をもって、「スポーツの価値、オリンピック、パラリンピックの価値、支えてくれるボランティアの価値」を感じて、感謝し、2021年に希望の灯をつなげて、2020年より、さらに優った+1の実を、2021年、みんなで結んでいこうというものでした。

失ってみないと、価値というものは、なかなか感じられないものです。健康の価値、両親の価値、平和の価値などは、特にそうだと思います。

たとえ、華やかな大会、記録的な観客数、日本選手の活躍で、日本全体が盛り上がったとしても、価値と感謝を見失うと、その喜びも続かないことでしょう。

2部のパネルディスカッションで3人のパネラーの方が、様々な視点で、基調講演を受けて、話されました。

高田さんが、北京パラリンピックの選手村でみた光景が、まさに共生社会を絵にしたような光景だったと話されていたのですが、義足の方が歩く歩き方も、様々な個性があったり、足で食べたりするのも当たり前で視覚障害を持っている高田さんにとっても、選手村は、本当に居心地のいい空間だったと。

高田さんの考える平和な社会とは、共生社会自体が当たり前となって、共生社会という言葉さえも使わなくなる社会だと意見をされていましたが、高田さんにしか言えない言葉だなと感動しました。


また舛本教授が、『今回の大会ビジョンの3つの内の1つに「多様性と調和」がある。しかし、多様性ばかりが強調されると、バラバラになるだけだ、どうやって調和していくかが、セットになって考えられないといけない。

どのように、互いを生かし合えるように調和していくかが、平和にとって大事なポイントだ』と教えてくださいました。

今回のイベント参加者は40人ほどでしたが、アンケート結果を見てみると、オリンピック・パラリンピックに対する見方が大きく変わって、その価値が分かった、平和を目的としていることが、はっきり分かった、という意見が多く、嬉しかったです。

少ない人数で始まった世界架け橋ユース・ジャパンですが、初めて開催したフォーラムを通じて協力している5つの団体が、それぞれのパートを担当しながら、予想以上にスムーズに楽しく運営が出来たことを通して、私達の目指す共生社会の縮図を見た気がしました。

最初から、完成される世界がないように、オリンピックの目指す平和も、人間の成長のように生み、育てて、共に作っていってこそ、どんな艱難が遭っても、乗り越えていける平和へと繋がることでしょう。

「平和を作り出す人たちは幸いである。彼らは神の子と呼ばれるであろう。」

人類の英知を総動員して、歴史を積み上げてきたオリンピック。

幾多の困難を乗り越えながらも、様々な市民とのつながりを作り、違いを力に変えて、東京オリンピック・パラリンピックを支えていく、それが、きっと想像以上のヒューマンレガシーとして残っていくと信じています。